配位結合があるかどうかは、電子式にしてみればわかります。
(電子式をつくるためには、荷電子の数がわからないといけませんが、それは周期表でわかります。
電子式のつくり方などの解説動画は、こちらのページにまとめております。ここらへんがあいまいな人は、こちらから確認しておきましょう。)
①から順にみていきます。
アンモニア NH₃の電子式は、次の通りです。
水素原子と共有している電子対(共有電子対)を3つ、他の原子と共有していない非共有電子対を1つ持っています。
この非共有結合のところに、水素イオン H⁺ が配位して、配位結合が形成されます。
(ただし、いったん配位結合が形成されると、4つの N-H 結合は区別することはできません。上図右のアンモニウムイオンでも、4つの共有結合のうち、どれが配位結合でできたものか、という考え方はしません。)
②:水分子も非共有電子対をもちます。
2つもつのですが、そのうちの1つが水素イオン H⁺ と配位結合し、酸性を示す正体であるオキソニウムイオン H₃O⁺ になります。(2つ目の非共有電子対がさらに配位結合することはありません。)
③:ジアンミン銀(Ⅰ)イオン [Ag(NH₃)₂]⁺ は、錯イオンといわれるイオンです。
錯イオンは、NH₃ や H₂O のような非共有電子対をもった分子や、水酸化物イオン OH⁻ のように、これも同じく非共有電子対をもつイオンが、金属イオンに配位結合してできたものです。
これも、配位結合をもちます。
④:あまりみたことのないイオンかもしれませんが、そのくらいであわてないように。
かたちからして、ギ酸 HCOOH が電離したものだろうということは、想像がつきます。
ギ酸イオンというのでしょうね。
HCOOH → HCOO⁻ + H⁺
電離してできたイオンなので、この選択肢が正解です。
正解 ④
液体の状態のときの体積と、気体に変化した後の体積をそれぞれ求めて比べればよいです。
液体のメタンの体積は、与えられた密度と質量を使って求めます。
気体の方は状態方程式にあてはめるだけなので、こちらの方に苦戦した人も多いかもしれません。
どうしてもわからなければ、「比例式」、あるいは「単位を含めた計算」(解説動画の方で紹介します)などで考えてもよいですが、・・・
こういうのも、すんなりどういう計算でわかるのか?・・・出てくるようにしておけるとよいですね。
密度の 0.42g/㎤ というのは、この液体は1㎤ の質量が 0.42g だということを示しています。
質量が 16g なので、16gの中に1㎤ あたりの質量である 0.42g がいくつ含まれているかを考えれば、体積になります。
わり算の大切な使い方ですね。
16÷0.42 の計算になりますが、分数で止めておいていいです。後で楽ができるかもしれません。
注意すべきなのは、これはまだ【㎤】単位の体積だということです。
気体の状態方程式では【L】単位の体積で出てきますので、こちらも先に【L】単位に変換しておきましょう。
「1㎤=1mL」であり、「1mL=1×10⁻³L」ですので、次のように変換できます。
(ここらへんの単位の換算についてしっかり理解したい人は、こちらの動画もどうぞ。小学5年の内容ですが、高校生の皆様にこそ役に立つ内容です。)
分母の 0.42 を簡単にしたいので100(10²)をかけます。
その分、分子にあたる10⁻³にも100(10²)をかけ、10⁻¹になります。
10⁻¹ だけ、そのまま残してもすっきりしないので、これは16にかけ1.6としておきます。
とりあえず、液体のメタンの体積は 1.6/42 (L) で扱うことにしましょう。
次に、加熱して気体にしたメタンの体積です。
気体の状態方程式 pV=nRT で求められます。
Vが求めたいところ、
圧力p、気体定数R、絶対温度Tは与えられています。
物質量nも、分子量16のものが16gなので、1mol だということは、すぐにわかります。
求める体積をそのままVとし、これらの値を状態方程式に代入し、
両辺を 10⁻⁵ (100000) でわりましょう。
すぐに「V= 」の形になります。
「気体にすると体積は何倍になるか?」…という問題なので、
気体にしたときの体積「8.3×3(L)」を、液体のときの体積「1.6/42(L)」でわって答えです。
あまり楽できるところはないですが、分子の8.3と分母の1.6をそれぞれ10倍しましょう。
42と16は2で約分できます。2けたでわるのと1けたでわるのは、だいぶちがいますので、これはやっておきましょう。
あとは何もないです。83×3×21を計算して、それを8でわります。
「653.…」という数字になります。
これを、選択肢の解答の有効数字に合わせて、「6.5×10²(倍)」が答えになります。
正解 ①
混合物の分離法にもいろいろありますが、大ボスはどれかと聞かれたら、それはまちがいなく「ろ過」です。
中学校のときに勉強したことが大学入試でもポイントとなることには、みなさんもうすうす気づいているのではないでしょうか。小学校の段階で勉強したことは、さらに大切です。
砂の入ってしまった水を、ろ紙を使ってろ過する実験は小学校で行いました。
この時点で、答えは④~⑥にしぼられます。
また、「コロイド粒子は、その大きさから、ろ紙は通過できるがセロハンのような半透膜は通過できない」…というのは、重要事項です。これで、答えは④に決まります。
この問題ですが、中学校で勉強した「消化」の実験につなげられるといいですね。
発展の実験ですが、話題として取り上げられることも多いです。
「消化」とは、巨大な分子を小さい分子に分解することであり、
巨大なデンプン分子は、消化により小さなグルコース(ブドウ糖)分子に分解されます。
デンプンは大きな分子なのでコロイド粒子になります。
セロハンを使った実験で、デンプンはセロハンを通り抜けられないけど、ブドウ糖(グルコース)は通り抜けられる(→この結果から、消化とは大きな分子を小さな分子に分解する作用と確認できる)、というものを扱っています。(大切なところなので、中学の教科書を見直しておけるとよいですが、ふつう、とってはいないですよね。妹さんや弟さんがいたらみせてもらいましょう。)
正解 ④
(上図は2024年度共通テスト本誌化学より引用)
以下、解説は加えますが、上図だけで自分で解釈できればそれに越したことはないです。
①:2×10² Pa なので、図にある 6.10×10² Pa の 3分の1 あたりの部分をみて考えればよいです。
選択肢にあるように、0 ℃ より低い温度で昇華(固体から気体への状態変化)していることがわかります。
②:0 ℃ 、1.01×10⁵ Pa はもとより図に与えられています。
圧力を与えるということは、上向きに移動するので、選択肢にある通りです。
なお、これはスケートが滑る原理であります。
圧力を加えることにより、氷が一時的にとけ水になるので滑ります。
③:三重点といいます。選択肢にある通りです。
④:9×10⁴ Pa がグラフの縦軸の中でどこらへんになるか?…正確につかむことはたいへんですが、少なくとも6.11×10² と 1.01×10⁵ の間にあることは確かであり、それでじゅうぶんです。
この圧力では、水は100℃より低い温度で気体に変化するので、この選択肢が誤りです。
なお、1.01×10⁵ Pa は大気圧としてよく使われる値であり(次の設問にも出てきます)、9×10⁴ Pa はそれより低い値です。山頂など標高の高いところでは気圧が低く、水が100℃より低い温度で沸騰してしまう…という話は聞いたことがあるでしょう。
ですので、これは状態図が与えられていなくても正解できる問題といえます。
正解 ④
これも選択肢を1つずつ確認していきましょう。
①:0 ℃ での氷および水の密度は与えられているので、密度と体積の関係が問われています。
密度は「単位体積あたりの質量」なので、「密度=質量÷体積」で定義されます。
質量は 1g で同じなので、体積が大きいほど密度は小さくなります。
水を凍らせるとかさ(体積)が大きくなるのは知ってますよね(製氷皿で氷をつくってみればわかります)。
体積が大きくなるので、氷は水よりも密度が小さくなり、水に浮かびます。(液体状態より固体状態の方が密度が小さいということで、「水」はかなり特殊な物質といえます。)
この選択肢は、誤りです。
②:図2に与えられている範囲でも、氷も温度が上がるにつれて密度が小さくなり 0 ℃ で最小になるとわかります。この選択肢も誤りです。
固体でも液体・気体でも、一般に温度が上がるにつれて体積が大きくなるので、それにつれて密度が小さくなります。水は 4 ℃ で密度が最大となり、これも特殊ですが、これについては④で問われます。
③ 過冷却の状態の -4 ℃ というのは、図では点線で表されています。
そのときの密度は、ちょうどめもりが読み取れるところで(上図の青矢印)、「0.9994g/㎤」。
12 ℃ の水の密度は、それよりは大きいことが読み取れます。
この選択肢が正しいです。
④ 図より、水の密度は 4 ℃ で最大とわかります。
そこから冷やしていくと、密度は小さくなっていきますね。
4 ℃ の水が最も密度が大きいのでそのまま下にあり、液面の冷やされた水は密度が小さくなっていくので、そのまま上にあります。
この選択肢は、誤りです。
水は、身の回りにあふれ、重要な物質ですが、このようにかなり特殊な性質を持っています。
逆に、だからこそ身の回りにあふれ重要な物質なのでしょう。
正解 ③
問4の最初に水の分子量は「18」と与えられていましたが、ここで使うようです。
用語の意味さえとらえられていれば、わりと簡単にさばけます。
氷の融解熱が「6.0 kJ/mol」と与えられています。
これは、氷 1mol をとかすのに、6.0 kJ のエネルギーが必要だということです。
今、6.0 kJ の熱(エネルギー)を与えました。1mol の氷が融解します。
1mol は 18g です。残っているのは、54-18 より、「36g」です。
この「36g」が何㎤ にあたるかを計算して、答えです。
0℃の氷の密度は、図2より「0.917g/㎤」です。
先ほども出てきました。
36g の中に、1㎤ あたりの質量である 0.917g がどれだけあるかを考えるので、
36÷0.917 のわり算で求められます。
36÷0.917=39.2.… なので、およそ 39㎤ になります。
正解 ⑤
第1問は以上です。
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