令和2年度 第1学年 静岡県学調 予想問題

静岡県学力調査テストにむけて

令和2年度(令和3年)1月に、静岡県の中学1年生のみなさんは、学力調査テストを受けられます。

 

 長年、静岡の学調をみてきて、今回、数学でこの問題が出されるだろうな・・・というのが、ありますので、紹介しておきます。(もちろん、毎年出される問題のことではなく、今回初めて出されるタイプの問題についてです。)

 

中学2年生の学調で出題されるかもしれましんし、公立高校入試で出題されてもおかしくないところですので、2年生や3年生の人も、みておきましょう。

 

 なお、予想が外れても責めないでくださいね。

大切な考え方を紹介することになるので、必ずどこかで役に立つはずです。


予想される問題は、こちらです。


問題)次の数は、素数であるかどうかを、それぞれ調べなさい。

①1338   ②6381   ③2385   ④91

⑤97   ⑥149   ⑦211   ⑧323


与えられた自然数を、素数かどうか判定する問題です

問題の形式はどうなるかわかりませんが、例えば、解答欄に「素数であるもの」と「素数でないもの」の枠があり、そこに各数字の番号を割り振っていく、という形態が予想されます。

 

どちらにせよ、与えられた数を1つずつ検討していくしかありません。

 

「1とその数しか約数を持たない」のが、素数です。

逆にいえば、1とその数以外に1つでも約数を持てば、「素数ではない」といえます。

 

素数の小さい方から順に(2,3,5,7,11,13,・・・)、わりきれるかどうかを確認していくのが基本です。

 

素数だけでいいです。

例えば、6は素数ではありません(2と3も約数に持っています)が、ある数が6でわりきれるとしたら、その前に2か3でわりきれているはずですよね。

 

ですから、素数だけ順に、小さい方から調べていけばよいです。

 

それでは、みていきましょう。

 

①~③は数が大きいですね。

その分、簡単な見分け方があるはずです。それを、確認していきましょう。

①1338

「1368」は、一の位が「8」で偶数です。

一の位が偶数(0,2,4,6,8)なら、その数自体も偶数で、必ず2でわりきれます。

よって、1368は2を約数に持ち素数ではありません

 

これが、基本になります。

「2」以外の偶数はすべて素数ではなく、それは一の位だけで判断できます。

②6381

一の位が「1」と奇数なので、6381自体も奇数であり、2の倍数ではありません。

 

次に3の倍数であるか(3でわれるか)を検討します。

 

これは、実際にわってみなくてもわかります。

 

「各位の数をたしてみて、3の倍数になれば、その数自体も3の倍数である」

・・・という重要な数の性質があります。

 

6381も、試してみましょう。

 

「6+3+8+1」より「18」・・・18は3の倍数です。

よって、6381は3を約数に持ち素数ではありません

 

なお、6+3+8+1より18という数字が出ましたが、この各位をさらにたしてみると、

「1+8」より「9」と、3の倍数になります。

 

3の倍数だったら、どんなに桁数が多くても、この操作を繰り返していけば、必ず一桁の整数(3,6,9)のどれかになります。

 

また、補足説明になりますが、各位の数をたして9の倍数になればその数自体も9の倍数です。

6381の各位の数の和は18で、18は9の倍数なので、6381自体も9の倍数です。(9でわって、試してみましょう)

③2385

一の位が奇数なので、2の倍数ではありません。

順番にいうと、次は3の倍数か検討しなければいけませんが、これは、その前に見えますよね。

 

5の倍数は、一の位が必ず「5」か「0」になります。

2385は、一の位が5なので、5を約数に持ち素数ではありません

④91

奇数なので、2の倍数ではありません。

9+1=10で、10は3の倍数ではないので、3の倍数でもありません。

一の位が0でも5でもないので、5の倍数でもありません。

 

よって、次に小さい素数7でわれるか調べてみます。

(くり返しますが、4や6でわりきれるか試す必要はありません。これらの数でわりきれるとしたら、その前に2や3でわりきれたはずです。素数だけ調べればよいです。)

 

91÷7を計算してみると(筆算でいいですよ)、整数の範囲でわりきれました。

91÷7=13・・・91=7×13ということですね。

 

91は、7を約数に持ちます。素数ではありません

⑤97

ここまでに示した方法で、2の倍数でも3の倍数でも5の倍数でもないことは、わかります。

7でわってみると・・・筆算です。あまりのあるわり算として扱いましょう。

 

97÷7は、「13あまり6」です。

97=7×13+6なので、97は7の倍数では、ありません。

 

次に小さい素数は、11なので11でわってみましょう。

97÷11は、「8あまり9」です。

97=11×8+9なので、97は11の倍数ではありません。

 

ここで、大切なポイントがあります。

 

7でわるときにくらべ、11でわったとき、商(上の赤字で示した数)は、わる数(青字で示した数)より、小さくなりましたね。

 

ですので、本当は、わってみる必要すらなかったのです。

11×11=121ですから、121より小さい数を11でわると、商は必ず11より小さい数になります。

 

もし仮に、97が素数でないとしたら、11の前の2,3,5,7のいずれかで、すでにわりきれていたはずです。

 

97は(11×11の)121より小さい数で、2,3,5,7でわりきれないので、素数です

 

(参考書などで、この類の問題に「11²=121」という解説がのっていると思いますが、これはこのような意味です。)

 

大切なところなので、補足しましょう。

学校授業で、「エラトステネスのふるい」を紹介されましたね。

ここでは、100までの自然数で考えてみましょう。

「1」は素数ではないので、✖をします。

「2」は素数なので、丸で囲み、2の倍数である偶数(一の位が、2,4,6,8,0の数)を、縦の線で、ざっと消します。

「3」も素数なので丸で囲みます。3の倍数は、斜めの線で消せます。

 

「4」は素数ではないので、もう消えていて、次の「5」が素数なので、丸で囲みます。

5の倍数である一の位が5である縦の行が消えます。一の位が0の数は偶数(2の倍数)なので、すでに消えています。

「6」は素数ではないのですでに消えています。

 

次の「7」が素数なので、丸で囲みます。

7の倍数を消さないといけませんが・・・

 

7=49

11=77

13=91

 

・・・の、3つしか新たに消せませんね。

いずれも7に、7または7より大きい素数をかけてできる数です。

7の倍数のうち、7より小さい数の倍数でもある数は、すでに消えているはずですからね。

 

次に小さい素数は「11」ですが、・・・

この100までの表では、11の倍数は検討することないですね。

 

11の倍数を調べても、新たに消せるものは、ありません。

11の倍数のうち、11より小さい数の倍数でもある数は、すでに消えています。

 

11の倍数のうち、次に消せるのは、11×11の121です。

ここで、1つ大きな結論が、導けます。

100までの自然数の範囲では・・・

「2,3,5,7の倍数」ではないことを確認すれば、素数と判断できます。

 

このうち、2の倍数と、5の倍数は一の位で判断できますし、

3の倍数も、各位をたすことで確認できます。

 

7の倍数は、7でわってみないといけませんが、49と77と91だけです。

このうち、49や77が7の倍数であることは、筆算しなくても、すぐにわかりますよね。

⑥149

149は、2,3,5の倍数では、ありません。

また、7でわってもわり切れないので、7の倍数でもありません。

 

次に小さい素数「11」で、わってみましょう。

 

149÷11=13あまり6(149=11×13+6)

・・・よって、149は11の倍数ではありません。

 

次に小さい素数「13」でわってみましょう。

 

149÷13=11あまり6(149=13×11+6)

商の11が、わる数の13より小さくなりました。

これ以上、調べる必要は、ないということです。

わりきれるとしたら、149は13より小さい数を約数に持つということになり、矛盾(むじゅん)になります。

 

よって、149は、素数です

 

今回の解説記事で、もっとも訴えたかったことは、ここにあります。

 

一般的な参考書では・・・

「13²=169、149<169なので、11の倍数まで検討すればよい」と、解説されています。

・・・でも、少し、わかりづらいですよね。

 

ここで示したように、小さい素数から順に割っていき、・・・

商が、わる素数より小さくなったら、そこで、その数は素数だと判断してよい、ということです。

⑦211

211は、2,3,5の倍数ではありません。

 

211÷7=30あまり1(211=7×30+1)・・・よって、211は7の倍数では、ありません。

 

211÷11=19あまり2(211=11×19+2)・・・よって、211は11の倍数ではありません。

 

211÷13=16あまり3(211=13×16+3)・・・よって、211は13の倍数ではありません。

 

次に小さい素数は「17」です。

 

211÷17=12あまり7(211=17×12+7)

商が17より小さくなりました。これ以上、調べる必要はありません。

211は、素数です

 

⑧323

323は、2,3,5の倍数ではありません。

後は、小さい素数から順にわてみましょう。

商が、わる素数より小さくならない限り、これを続けます。

 

323÷7=47あまり4(323=7×47+4)・・・よって、323は7の倍数ではありません。

323÷11=29あまり4(323=11×29+4)・・・よって、323は11の倍数ではありません。

323÷13=24あまり11(323=13×24+11)・・・よって、323は13の倍数ではありません。

 

323÷17=19・・・わり切れました。323は17の倍数です。323は素数ではありません

 

解答をまとめます。

素数であるもの:⑤97、⑥149、⑦211

素数でないもの:①1338、②6381、③2385、④91、⑤323


「素数」および「素因数分解」については、まとめ解説動画もあげています。

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