ここらへんから、
「文章題が苦手=かけ算かわり算か、わからない」
・・・という声がよく聞かれるようになってきます。
読解力がないから・・・なんていう、あいまいな理由のせいにしても、なかなか解決には、つながりません。そこで、今回は・・・
算数・文章題をこなすために必要な技術(知識)とは?
・・・というテーマで、お話しします。
6年算数、分数のかけ算・わり算の文章題も、この延長の話ですので、小学6年生の保護者様もどうぞ、
(なお、この話は等分除・包含除といった考え方が、どのようにつながっていくかの説明でもあります。そちらの話題に興味がある方もどうぞ。)
まず、典型的な例題をみてみましょう。
問1
「1㎡の花だんに、2.4Lの水をまきます。
2.5㎡の花だんには、何Lの水をまくことになりますか。」
問2
「3.5㎡の花だんに、8.4Lの水をまきます。
花だん1㎡には、何Lの水をまくことになりますか。」
問3
「1㎡の花だんに2.5Lの水をまきます。
4Lの水では、何㎡にまくことができますか。」
まずは、保護者の方もいっしょに考えてみてください。
かけ算を使うのか、それとも、わり算を使うのか?
わり算の場合、どちらをどちらでわるのか?
・・・わりとむずかしいですよね。
図に表してみたり、いろいろ考えてみましょう。
それでは、はじめます。
説明のつごうにより、問2、問3の方からはじめます。
その前に確認しておかないといけないことがあり、
親御さんにしてみれば、昔のことなので忘れてしまっていて、しかたないですが、
算数では・・・
「わり算には2つの使い方がある」・・・と、勉強します。
具体的にいいますと、・・・
① 18個のあめを、3人で等しく分けると、1人何個になりますか。 答え「6個」
② 18個のあめを、3個ずつ分けると、いくつに分けられますか。 答え「6」
・・・の2種類のわり算です。
このことは、小数のかけ算・わり算に入る前の単元の【単位あたりの量】で、簡単な数値で確認します。
また先生によっては、小数の文章題に入る前に、改めてこれを確認される先生も多いです。
最初にあげた、文章題も、すべてこの2つのわり算の考え方の延長にあります。
・・・どういうことか、みていきましょう。
問2「3.5㎡の花だんに、8.4Lの水をまきます。
花だん1㎡には、何Lの水をまくことになりますか。」
例えば、「8.4Lのジュースを3人で等しく分ける」なら、「8.4÷3」で計算すればよい、とすぐにわかりますよね。上で示した①のわり算です。
この問題も、それとまったく同じ状況だと、とらえられるように、小学生のお子さんたちはトレーニングしている最中だと考えるといいでしょう。
この問題が、「3㎡の花だんに、8.4Lの水をまきます。花だん1㎡には、何Lの水をまくことになりますか。」・・・でしたら、わりと「8.4÷3」は、すんなり出てくるのでは、ないでしょうか?
(カリキュラム的には、小4の【小数×整数、小数÷整数】の単元で、こういう文章題に取り組んでいます。)
3㎡が3.5㎡になっても、1㎡あたりに必要な水の量なので、同じようにわり算で「8.4÷3.5」で求められることを、ここで勉強します。
もちろん、抽象的で誰にも簡単につかめる考え方ではないので、学校の先生や教科書が、「図」や「2本数直線」、「4ます図」など、いろいろ工夫して、生徒さんの理解を進められるよう、がんばっています。
もっとも、もっと具体的な方法もあって、この問題の場合、
「3.5㎡の花だんに、8.4Lの水をまきます。」の面積と水の量をそれぞれ10倍して、
「35㎡の花だんに、84Lの水をまきます。」としても、求める値は変わらないはずですね。
このようにして、考えてもいいです。
わり算で、わられる数とわる数にそれぞれ同じ数をかけても商は変わらない・・・というのは、学校でもけっこう練習していることですし、そもそも、この問題でも筆算のときに、その操作をすることになります。(わり算のひっ算で小数点の位置をずらしますが、それは、8.4÷3.5を84÷35に変える操作そのものです。)
こういう問題を通して、ひっ算のしくみの理解も深められるなど、相乗効果がありますよね。
問3「1㎡の花だんに2.5Lの水をまきます。4Lの水では、何㎡にまくことができますか。」
上で示した、②のわり算の延長です。
「1人に3個ずつあめを配ります。あめが18個あったら、何人に配ることができますか。」
でしたら、18個の中に3個がいくつあるか考えればよく、「18÷3」でいいですよね。
ということは、この問題もどうすればよいか?・・・わかりますよね。
4Lの中に、(1㎡の花だんに必要な水の量の)2.5Lがいくつあるか考えればよく、わり算で・・・
「4÷2.5」の計算で、求められます。
もし、この説明でもお子さんがわかりにくいという場合、4Lではなく2.5の倍数の水の量、例えば、「5Lの水では、何㎡にまくことができるか」という問題を設定して考えさせてみましょう。
1㎡に2.5L・・・ということは、2㎡ではその倍の5L・・・というところから、5÷2.5で求められるし、そこから、元の問題も4÷2.5で求められると、導けます。
それでも難しいようなら、前の【単位あたりの量】の単元から「1分で60枚印刷する印刷機があります。この印刷機で240枚印刷するには何分かかりますか」のような問題から、「240÷60」で求められることを確認し、そこからおこしていってもいいでしょう。
問3の説明が、思ったよりも簡単になりましたが、実はこの問題・・・けっこう難しいです。
私が中学・高校の理科で、この問題と(本質的に)同じ問題が出たら、比例式「1:2.5=x:4」を立てて計算する方法を先に紹介することの方が多いと思います。
では、なぜ算数でこういう計算を勉強するかというと・・・
次につながる・・・からです。
どう、つながるかは、また時間をとって別の記事にしようと思っていますが、簡単に言うと・・・
①のわり算(18を3等分するといくつか)
→「速さ」などに代表される「単位あたりの量」につながります。
例えば180mの道のりを3分間で進んだときの速さは、(1分あたりに進んだ道のりを調べたいので)180mを3でわればよく、180÷3=60より、「分速60m」です。
そして、分速がわかれば、それを使って「○○分で進む道のり」や、「○○m進むのにかかる時間」など、簡単に調べることができます。
中学に入って、「密度」「圧力」・・・さらには高校に入ると、もっといろいろ出てきますが、「単位あたりの量」は便利・・・というか基本的な考え方なので、大切です。
②のわり算(18の中に3はいくつあるか)
→①で求められる「単位あたりの量」を使って、ガンガン計算を進めるのに使います。
きりがないので、次の記事にまわすとして1例だけにしておきますが、
「時速25㎞の速さで、100㎞進むのにかかる時間」では、100㎞の中に(1時間で進める道のりの)25㎞がいくつあるか考えればよく、わり算で「100÷25=4」より、「4時間」です。
この「②のわり算」には、個人的にいろいろこだわりがあって、書きたいことは山ほどなのですが、ここらへんにしておきます。
問1「1㎡の花だんに、2.4Lの水をまきます。2.5㎡の花だんには、何Lの水をまくことになりますか。」
これは、かけ算です。文章題の中のかけ算については、前回の記事にくわしく書きましたので、そちらもよろしければ、どうぞ。
この問題について、考えてみましょう。
1㎡の花だんに2.4Lの水をまくので、2㎡の花だんにはその倍の4.8Lの水をまくことになります。
今、2.5㎡の花だんについて考えているので、残り2.5-2=0.5より、0.5㎡の花だんにまく水の量が必要です。
これも、1㎡の花だんに2.4Lなので、0.5㎡にはその半分の1.2L
・・・あわせて、4.8+1.2=6より「6L」と求められます。
わかりやすい数字なので、このようにすんなり出ましたが、やっかいな数字の場合の方が多いので、もう少し一般化したいですよね。
そこで使うのが、かけ算を勉強し始めたときから練習してきた「(1つあたりの大きさ)×(それがどれだけあるか)」という、かけ算の使い方です。
この問題でも、1㎡あたりに「2.4L」、それが「2.5㎡」分、必要なので、「2.4×2.5」の計算とわかります。(これも、お子さんによってわかりにくければ「5㎡の花だんには何Lの水をまくか」など、×(整数)の場合からおこしていけば大丈夫です。)
この、「(1つあたりの大きさ)×(それがどれだけあるか)」というのは、わりと大切で、先に示した「2㎡には4.8L」や、「0.5㎡には1.2L」も、この考えに基づいています。
かけ算の使い方としては、「(1つあたりの大きさ)×(それがどれだけあるか)」だけでなく、もう一つ重要なものがあります。
また、今回紹介した「2つのわり算の使い方」も合わせ、それがどのように中学・高校の勉強につながっていくか?・・・お話ししたいことは、たくさんありますが、夏期講座も控え、忙しくなってきましたので、今回はここで失礼します。
(等分除・包含除については、こちらの解説記事で、さらにくわしく扱っております。)
執筆:井出進学塾 代表 井出真歩
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ましゅまる (月曜日, 26 12月 2022 09:14)
意味がわかりません。