先日、SNS上で、このようなアンケートが上がり話題になっていました。多分、どこかの塾の先生があげたものです。
「小学4年生の生徒が、たし算のひっ算で指を使って数えている。どうしたらよいと思いますか?」
選択肢は、
①そのままでよい
②(指で数えるのを)止める
③おはじきなどを使って指導する
④その他
・・・私は、すごく不思議な気持ちになりました。
選択肢に当てはまるものがないどころか、この「問い」そのものに、大きな違和感を覚えました。
井出進学塾自体のコンセプトを再確認するよい機会にもなるでしょうので、今回、この件について少し考えてみたいと思います。
まず、選択肢そのものに違和感があるのは事実です。
私のように個別指導を徹底している塾で長年はたらいているものからしますと、
①「そのままでよい」も②「止める」も、後は生徒さんしだいということになるので、
塾に通う意味があるのか?…とすら感じられてしまいました。(あくまで、私の立場からすると…です。)
①、②も本質的に内容は同じで「放置する」という意味になります。
③もそうですね。「おはじき」という手段は、毎回毎回やるようなものではありません。
この選択肢にも、おはじきを使って原理をおしえ、その後は「放置する」という選択肢に、私には思えました。
もちろん、同業の方で同じようなことを感じたのかな?…と思われるコメントもチラホラみられました。
「100マス計算」、「フラッシュカード?(編注:よく知りません)」を使ったトレーニングを奨める意見も多かったです。
私は、100マス計算やフラッシュカードという手段を選びませんが、考えていることは同じでしょう。
この問いに対する答えは、「(指で数えなくてもできるように)適切なトレーニングを積み重ねる」の一択に決まっています。その際に、「指で数えなくてもできるように」を経過目標にするかどうかは、どちらでもよいし、ごく些細な問題です。
数学が特殊に特異(得意)な人たちは、生徒が一度やったはずの問題ができないと、信じられないそうです。
トレーニングという概念、あるいはトレーニングが必要な人もいる…という考え方がないのでしょうね。
これは、けっして特別な話ではなく、親御さんがお子さんの勉強をみるときも同じです。
大人にとってはあたりまえのことも、お子さんにとっては、それがあたりまえになるように段階をふんでいるところです。
後、違和感を覚えたのは、当塾でしたら「指で数えている」なんて表面的なことに反応しませんね。
「数の分解が自在にできているか」、「10の補数が使えているか」、「数を量的にとらえられているか」、あるいは、かけ算・わり算あたりですと、「それぞれの演算の意味がつかめているか?」・・・の方が気になります。
個々の現状をふまえ、補うべきところを補えるトレーニング法や教材は、さすがに長くやっているので、現時点でもけっこうそろっていますし、新しいものもどんどんつくっていきたいです。
とはいえ、何か特別な教材があるというわけではありません。
この仕事をやればやるほど、日本の算数教育カリキュラムの完成度の高さがわかります。
例えば、たし算・ひき算に入る前に、十分に数の分解練習が行われていますし、
かけ算・わり算も、それを初めて知る児童がその演算の意味をとらえやすくするため、相応の配慮がされています。
当塾のカリキュラムや教材も、それにもとづいたものになっています。
追記
冒頭のSNS上にあったアンケートですが、予想通り①「そのままでよい(放置する)」がトップになっていました。
「止める」というのに抵抗があることは、わからないでもないです。
でも、「止める」の対になるのは「そのままでよい(放置する)」では、ないです。
とはいえ、一般の人にとっては、「止める」の反対は「そのままでよい」だと思ってしまってもしかたがないなと考え、今回、筆をとりました。
なお、こういう話題すら学校教育や教員に対するヘイトにつなげようとする人らが一定数います。
例えば、私も数列などで62番目から73番目までいくつあるか?などの状況では、めんどくさいので指を使って数えます。
そういう例をもって、自分だって指を使って数えることがあるのだから問題ない。子どもが指を使って数えていても、ほおっておけばいいんだ。強制するな~!…という無責任な主張も目立ちます。
どうか、みなさまには、お子様のことを第一に考え、その情報が本当に有益かどうか?冷静に判断してくれるよう、お願いします。
以上です。
ご意見・ご感想、お待ちしております。
執筆:井出進学塾 井出真歩
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